当院は回復期と呼ばれる病院で急性期での治療後、「リハビリ」に専念していただく病院です。当院には成人で8名、小児に2名のSTが在籍しています。また、同法人の出雲市民病院に3名、大曲診療所に1名の仲間たちもいます。大曲診療所では出雲圏域で訪問リハビリを中心に行っています。
さて、今回は回復期で注目されているリハビリついて、少しお話しをしたいと思います。
近年、ITの進歩は著しく、あらゆる情報を誰もが簡単に入手できるようになりました。
昨今の報道で「科学的根拠」「エビデンス」といった言葉をよく耳にします。社会全体にこの科学的根拠に基づいた指針や行動が求められるようになっています。
これらは、リハビリ業界においても同様です。科学的根拠とそれを入手できる情報通信技術は、目の前の患者様や私たちに多くの恩恵をもたらします。
しかしながら、私たち言語聴覚士はリハビリ専門職の中では歴史も浅く、科学的な根拠も十分とは言えない領域でもあります。
私たち言語聴覚士のリハビリの大きなウエイトを占めるものの一つに、喉の飲み込みの問題となる「嚥下障がい」があります。この嚥下障がいにも根拠のある介入が少しずつ報告されてきています。
今回ご紹介するのはそのリハビリの方法で、低周波治療器(下写真)という医療機器を使用します。筋肉には瞬発力の速筋と持続力の遅筋とがあり、飲み込む運動の多くは速筋が関与します。従来の訓練では遅筋を鍛えることがメインとなり、速筋に対しては訓練効率が悪いと言われています。その問題を解決するのがこの低周波治療器です。喉に当てて、従来の訓練と併用することで効果を高めるとされています。
県内でも取り扱う病院や施設が増えてきています。当院でも9月から運用開始しました。このような根拠に基づいたリハビリが今後、拡がっていくことを期待したいと思います。